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空き家売却ガイド|固定資産税

空き家の固定資産税は本当に6倍?管理不全空家と住宅用地特例

草木に覆われた古い木造の空き家

「空き家を放っておくと固定資産税が6倍になる」と聞いて、心配される方がいます。実際には、空き家になっただけで税金が上がるわけではありません。住宅用地の特例の仕組みと、2023年12月に始まった「管理不全空家」の制度を正確に説明します。

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最終更新日:2026年10月10日 / 監修:宅地建物取引士 シュース健人

住宅用地の特例とは

住宅が建っている土地(住宅用地)は、固定資産税と都市計画税の計算のもとになる課税標準が軽減されています。

区分固定資産税の課税標準都市計画税の課税標準
小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡以下の部分)評価額の6分の1評価額の3分の1
一般住宅用地(200㎡を超える部分。家屋の床面積の10倍まで)評価額の3分の1評価額の3分の2

この特例は、毎年1月1日(賦課期日)の時点で住宅が建っているかどうかで判定されます。人が住んでいるかどうかではなく、「住宅として使える建物があるか」が基準です。そのため、親が亡くなって空き家になっただけでは、特例は外れません。

特例が外れる3つの場合

「空き家問題」と書かれた黒板と家の模型
  • 建物を解体して更地にした:翌年1月1日時点で住宅がなければ、その年度から特例の対象外です。
  • 管理不全空家・特定空家として勧告を受けた:市区町村長から勧告を受けると、その後の1月1日を基準とする年度から特例の対象外になります。
  • 住宅として使えない状態になった:屋根が落ちている、壁が崩れているなど、構造上住宅として使えないと判断されると、住宅用地として扱われないことがあります(判断は市区町村)。

「空き家になったら」ではなく、「勧告を受けたら」「解体したら」「住めない状態になったら」と覚えておくと正確です。

外れたら本当に6倍になるのか

小規模住宅用地の課税標準は評価額の6分の1なので、特例が外れると計算上は課税標準が最大6倍になります。しかし、住宅用地以外の土地(商業地等)には、課税標準を評価額の70%までに抑える仕組み(負担調整措置)があります。そのため、小規模住宅用地では土地の固定資産税が最大で約4.2倍(0.7÷1/6)、都市計画税と合わせた税額では3〜4倍程度になるのが一般的です。

都市計画税は軽減が3分の1なので、上がり方は固定資産税より小さくなります。上がり方が段階的になる年もあります。

項目住宅用地の特例あり特例なし(更地など)
土地の評価額1,200万円1,200万円
固定資産税の課税標準200万円(6分の1)840万円(評価額の70%を上限とした場合)
固定資産税(1.4%)2.8万円11.76万円
都市計画税の課税標準400万円(3分の1)840万円
都市計画税(0.3%)1.2万円2.52万円
合計4.0万円約14.3万円(約3.6倍)

上の表は仕組みを理解するための単純化した例です(税率は標準税率、負担調整は評価額の70%を上限とした場合)。実際の税額は、負担調整の段階的な適用や自治体の税率で変わります。正確な金額は市区町村の資産税の窓口で確認してください。

管理不全空家と特定空家

ロープで囲われた住宅地の空き地

2015年に施行された空家等対策特別措置法(空家法)では、倒壊のおそれがあるなど著しく危険・有害な空き家を「特定空家等」として、市区町村が助言・指導、勧告、命令、行政代執行(強制的な解体など)を行えるようにしました。

2023年12月13日施行の改正で、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある段階の空き家を「管理不全空家等」とする制度が新設されました。管理不全空家に対しては指導・勧告ができ、勧告を受けると住宅用地の特例が外れます。つまり、倒壊寸前まで傷んでいなくても、窓が割れたまま、草木が道路にはみ出している、といった状態が続けば、税金が上がる可能性が出てきたということです。

段階管理不全空家等特定空家等
指導あり助言・指導あり
勧告あり(住宅用地特例の対象外に)あり(住宅用地特例の対象外に)
命令なしあり(違反すると50万円以下の過料)
行政代執行なしあり(費用は所有者に請求)

改正では、災害時など緊急の場合に命令などの手続きを経ずに代執行できる「緊急代執行」の制度もできました。

税金を上げないためにできること

  • 定期的に換気・通水し、雨漏りや窓の破損は早めに直す
  • 庭木や雑草が道路や隣地にはみ出さないよう手入れする
  • 郵便物をためない、門扉や窓の施錠を確認する
  • 近所の方に連絡先を伝えておく
  • 市区町村から連絡や指導があったら、放置せずに対応する

それでも、空き家の傷みは年々進み、管理の負担もなくなりません。持ち続ける予定がないなら、指導や勧告を受ける前に売却を検討するのが確実です。年間の費用は維持費の計算ツールで試算できます。

納税通知書の見方

固定資産税の納税通知書には、土地・家屋ごとの課税明細書がついています。土地の欄にある「評価額」と「課税標準額」を比べると、住宅用地の特例が使われているかどうかが分かります。課税標準額が評価額の6分の1程度になっていれば、小規模住宅用地の特例が適用されています。

明細書には、小規模住宅用地・一般住宅用地などの区分や、その面積が記載されているのが一般的です。特例が外れた場合にどれくらい上がるかの目安として確認しておきましょう。分からない場合は、市区町村の資産税の担当窓口で説明を受けられます。

府内で「その他の空き家」が多いエリア

賃貸用・売却用・別荘などを除いた「その他の空き家」は、管理が行き届かなくなりやすい空き家です。総住宅数に占める割合が高い市区町を並べました。

順位エリア総住宅数に占める割合戸数
1大阪市此花区7.7%3,030戸
2堺市堺区7.5%6,870戸
2河南町7.5%560戸
4阪南市7.1%1,730戸
5柏原市6.8%2,670戸
5忠岡町6.8%540戸
7羽曳野市6.6%3,460戸
8大阪市西成区6.5%5,730戸
8堺市美原区6.5%1,080戸
8岸和田市6.5%5,890戸
11守口市6.4%5,210戸
11豊能町6.4%520戸

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」。大阪府全体は4.6%(22万6,900戸)

解体のタイミングと固定資産税

売却のために解体する場合、1月1日を更地で迎えると、その年度の土地の固定資産税が上がります。解体は年明けに行う、売買契約を結んでから解体する、といった工夫で負担を抑えられます。解体するかどうかの判断は解体するかで詳しく説明しています。

よくあるご質問

空き家になったら翌年から固定資産税が上がりますか?
いいえ。空き家になっただけでは住宅用地の特例は外れません。外れるのは、解体した場合や、管理不全空家・特定空家として勧告を受けた場合などです。
勧告を受けた後に改善したら、特例は戻りますか?
勧告が撤回されれば、その後の1月1日を基準とする年度から特例が再び適用されるのが一般的です。具体的な扱いは市区町村に確認してください。
固定資産税の評価額はどこで分かりますか?
毎年4〜6月ごろに届く納税通知書の課税明細書に記載されています。市区町村で評価証明書を取得することもできます。

このページの監修

シュース健人(宅地建物取引士 大阪府 第118737号/株式会社GEEZ 所属)

株式会社GEEZ所属。大阪・関西の相続、空き家、再建築不可、借地、工場・倉庫、長屋・文化住宅といった売却の難しい不動産の相談を担当しています。

本ページの数値は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」、総務省「住宅・土地統計調査」、国土地理院、OpenStreetMap の公開データを当社が集計したものです。実際の金額は現地確認のうえでご提示します。

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