空き家売却ガイド|解体するか
空き家は解体して売るべきか|解体費の目安と判断のしかた

「古い家は解体して更地にしたほうが高く売れる」とよく言われます。間違いではありませんが、解体費、固定資産税、売れるまでの期間を考えると、先に解体するのが得とは限りません。判断のしかたを、大阪府内の取引データとあわせて説明します。
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最終更新日:2026年10月10日 / 監修:宅地建物取引士 シュース健人
結論:解体は「売れる見通しが立ってから」
解体するかどうかは、①古家付きのまま売った場合の価格と、②更地にして売った場合の価格から解体費を引いた金額を比べて決めます。②が①を大きく上回るなら解体を検討する価値がありますが、差が小さい、あるいは売れるまでに時間がかかりそうなら、古家付きのまま売るほうが安全です。
現実的なのは、古家付きのまま売りに出し、買主の希望に応じて「売主が引き渡し前に解体する」条件をつける方法や、買主に解体してもらう前提で価格を決める方法です。売買契約が決まってから解体すれば、更地のまま買い手がつかないリスクを避けられます。
木造住宅の解体費の目安

大阪府内の木造住宅の解体費は、延床1坪あたり3.5万〜6万円程度が目安です。延床面積に当てはめると次のようになります。
| 延床面積 | 解体費の目安(木造 坪3.5万〜6万円) |
|---|---|
| 20坪(約66㎡) | 70万〜120万円 |
| 30坪(約99㎡) | 105万〜180万円 |
| 40坪(約132㎡) | 140万〜240万円 |
| 50坪(約165㎡) | 175万〜300万円 |
次のような条件があると、解体費は目安より大きく上がります。
- 前面道路が狭く、重機やトラックが入らない(手作業での解体になる)
- 隣の家と壁や屋根がつながっている(切り離しと補修が必要)
- アスベスト(石綿)を含む建材がある。2023年10月から、解体前の事前調査は有資格者が行うことが義務になり、一定規模以上の工事は調査結果の報告も必要です
- 家財・ごみが大量に残っている(残置物の処分費が別にかかる)
- 地中から古い基礎・浄化槽・井戸などが出てくる
- ブロック塀・庭木・物置などの撤去が必要
見積もりは2〜3社から取り、「残置物の処分」「整地」「アスベスト調査」「近隣対応」が含まれているかを確認しましょう。金額は物件ごとに異なるため、ここでの数字はあくまで目安です。
解体する場合・しない場合の比較
| 解体して更地で売る | 古家付きのまま売る | |
|---|---|---|
| 売れやすさ | 建築予定の買主が検討しやすい | 建物を使いたい買主・買取業者が対象 |
| 費用 | 解体費・残置物処分費を先に負担 | 負担なし(価格で調整される) |
| 固定資産税 | 1月1日を更地で迎えると住宅用地特例が外れる | 住宅用地特例が続く(勧告を受けた場合を除く) |
| 建物の不具合の責任 | 建物がないので問題になりにくい | 免責特約や告知で対応 |
| 再建築できない土地 | 建てられない更地になり、価値が下がるおそれ | 建物を活かす買主に売れる可能性 |
固定資産税は「1月1日」がポイント

住宅が建っている土地には、固定資産税を最大6分の1に軽くする住宅用地の特例があります。解体して更地にすると、翌年1月1日時点で住宅がないため、その年度から特例が外れます。たとえば11月に解体して翌年の春に売れた場合、売れるまでの間に1月1日を更地で迎え、その年度の固定資産税が上がります(その年度の税を買主と日割りで精算する慣行はありますが、税額そのものは上がります)。
解体するなら、1月1日をまたがないように売買のスケジュールを組むこと、または年明けに解体することが一つの工夫です。詳しくは固定資産税をご覧ください。
3,000万円控除と解体の関係
相続した空き家を売るときの3,000万円特別控除は、建物を耐震改修して売るか、建物を取り壊して土地を売る場合に使えます。以前は売主が自分で解体(または耐震改修)する必要がありましたが、2024年1月1日以降の売却では、売った年の翌年2月15日までに買主が解体または耐震改修した場合も対象になりました。
つまり、控除を使うために売主が先に解体する必要は、必ずしもありません。解体を買主に任せる契約にすれば、解体費の立て替えも、更地のまま売れ残るリスクも避けられます。要件の詳細は3,000万円控除で確認してください。
再建築できない土地は、解体してはいけない
建築基準法上の道路に2m以上接していない土地は、原則として新しい建物を建てられません(再建築不可)。このような土地の建物を解体すると、二度と家を建てられない更地になり、価値が大きく下がるおそれがあります。道が狭い・路地の奥にある家は、解体の前に必ず役所で道路の扱いを確認してください(再建築不可・接道)。
府内で「解体の差」が大きいエリア
1980年以前築の木造戸建と、更地(どちらも土地250㎡以下)の土地1㎡あたりの取引単価を、府内67市区町で比べました。倍率が大きいほど、古い建物が価格を押し下げている地域です。各エリアページでは、その地域のよくある広さで解体費を差し引いた試算を載せています。
| 順位 | エリア | 更地÷築古戸建の単価 | 築古戸建の単価(坪) |
|---|---|---|---|
| 1 | 富田林市 | 2.10倍 | 14.5万円/坪 |
| 2 | 大阪市東住吉区 | 1.97倍 | 44.1万円/坪 |
| 3 | 堺市東区 | 1.88倍 | 26.4万円/坪 |
| 4 | 大東市 | 1.87倍 | 26.0万円/坪 |
| 5 | 守口市 | 1.83倍 | 29.8万円/坪 |
| 6 | 大阪市平野区 | 1.82倍 | 38.6万円/坪 |
| 7 | 松原市 | 1.78倍 | 21.3万円/坪 |
| 8 | 大阪市住吉区 | 1.74倍 | 49.6万円/坪 |
| 9 | 堺市西区 | 1.70倍 | 27.5万円/坪 |
| 9 | 堺市北区 | 1.70倍 | 44.1万円/坪 |
| 11 | 八尾市 | 1.69倍 | 29.3万円/坪 |
| 11 | 高石市 | 1.69倍 | 26.4万円/坪 |
| 11 | 四條畷市 | 1.69倍 | 24.0万円/坪 |
| 14 | 柏原市 | 1.67倍 | 18.9万円/坪 |
| 14 | 東大阪市 | 1.67倍 | 29.8万円/坪 |
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(不動産取引価格情報・成約価格情報。国の公表データで当社の取扱い実績ではありません。 2016年〜2026年第1四半期)を当社集計。両方の取引が5件以上あるエリアのみ
解体する場合の流れと期間
- 解体業者の見積もり:現地を見てもらい、2〜3社を比べます。残置物、アスベスト調査、整地の範囲をそろえて比較します。
- 補助金の確認・申請:自治体の補助を使う場合は、契約前に申請します。
- ライフラインの停止:電気・ガスの撤去を手配します。水道は散水のため工事中も使うことがあります。
- 近隣へのあいさつ:騒音や振動、車両の出入りについて事前に伝えます。
- 解体工事:木造2階建てで1〜2週間程度が一般的です(規模や条件で変わります)。
- 建物滅失登記:解体後1か月以内に、法務局へ建物がなくなったことを登記します。
建物滅失登記を忘れると、なくなった建物に固定資産税がかかり続けたり、土地の売却時に手続きが遅れたりすることがあります。土地家屋調査士に依頼することもできます。
解体の補助金について
府内の市区町村の中には、老朽化した住宅の除却(解体)に補助を出しているところがあります。対象となる建物の条件(建築年、耐震性、前面道路の幅など)や補助額、受付期間は自治体・年度ごとに異なり、多くは工事の契約前の申請が必要です。解体業者と契約してしまうと対象外になることがあるため、解体を考えたら、まずお住まいの市区町村の窓口で確認してください。
よくあるご質問
解体してから売るのと、古家付きで売るのはどちらが多いですか?
解体費は誰が払うのが普通ですか?
解体後に土地が売れなかったらどうなりますか?
このページの監修
シュース健人(宅地建物取引士 大阪府 第118737号/株式会社GEEZ 所属)
株式会社GEEZ所属。大阪・関西の相続、空き家、再建築不可、借地、工場・倉庫、長屋・文化住宅といった売却の難しい不動産の相談を担当しています。
本ページの数値は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」、総務省「住宅・土地統計調査」、国土地理院、OpenStreetMap の公開データを当社が集計したものです。実際の金額は現地確認のうえでご提示します。
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シュース健人宅地建物取引士
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